Original: https://www.ieee802.co.jp/cases/case-001-taiho-bousai-part1.php

Publisher: 慧通信技術工業株式会社 (Kei Communication Technology Inc.)

出典: 慧通信技術工業株式会社 【タイホ防災株式会社 前編】 新社屋ビル全体オフグリッドという判断

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慧通信技術工業株式会社「【タイホ防災株式会社 前編】 新社屋ビル全体オフグリッドという判断」

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導入事例 / 大阪市 前編

【タイホ防災株式会社 前編】 新社屋ビル全体オフグリッドという判断

「非常用」を前提にせず、平時=災害時の“同一運用”を要件化。 現場の手順を増やさず、屋上屋外(高温・黄砂・湿度・落雷)に耐える設計条件を満たす。

公開:2026-01-17
更新:2026-01-17
業種
防災・設備
課題
非常時の別運用を排除
設計
社屋全体を同一条件で運用
要点
止まらない=人と運用

新社屋建設という「一度きりの判断」

タイホ防災株式会社の新社屋プロジェクトは、単なる設備更新ではありませんでした。 旧社屋の老朽化に加え、創業60周年を見据えた節目として、社内の総意で「次の60年」を支える拠点づくりが動き出します。
大手ゼネコンによる設計が進み、計画が固まりつつあった頃、現社長の強い意向と社内コンセンサスにより、 新社屋は「オフグリッドビル」として建設する方針が確定しました。

ここで重視されたのは、設備の派手さではなく、社員が安心して日常業務に集中できる「前提条件」です。
停電を前提にした特別運用を、最初から設計に入れない。

防災を事業とする企業として、顧客に語る以前に、自社が実現していなければならない条件でした。

「非常用」という考え方を採らなかった理由

一般的なオフィスビルであれば、
系統電力を主に据え、高圧受電のためのキュービクルまたは電気室を設け、非常時対応としてディーゼル発電機を併設し、停電時に切り替える――という構成が慣例的に「正解」として扱われます。

しかし同社では、計画の早い段階で、現場の感覚として一つの違和感が共有されました。

「非常時ほど現場は忙しい、そこで特別な操作や判断を増やすべきではない」。防災設備は“使われないことが理想”です。

同じように非常用電源も、「使う前提」で考えた瞬間に人の判断と手順が介在します。
それは“止めないための設計”としては不完全でした。

そこで同社では、RFP(発注仕様)から「非常用」という言葉そのものを消すことを選びました。
必要なのは「非常時にどう切り替えるか」ではなく、平時も災害時も、同じ条件・同じ手順で動き続けることだったからです。
現場の判断を増やさず、将来にわたって運用の自由度を残すための、必然的な選択でした。

社屋全体を同じ条件で動かすという判断

方針が「オフグリッドビル」として固まった一方で、建築側としては「前例のない電源思想」を本工事の一括責任で抱えることは難しく、 結果として社の方針も踏まえ分離発注となりました。
さらに空調(GHP採用)については建築側の強い意向で本工事に含める一方、
オフグリッド設備+通信設備+ガス設備は当社責として責任分界が整理されました。

この段階で採られた設計思想は明確です。
平時・非常時・災害時で「モードを切り替える」のではなく、 社屋全体を一つの運用状態で動かす
そのために、太陽光発電を主電源とし、LPガス発電を組み合わせ、系統電力への依存を前提としない構成を、 “非常用設備”ではなく通常運用の電源構成として採用しました。

導入後に直面した、想定以上の環境条件

設計が進む中で、もう一つ現実が立ちはだかります。
建設方針上、屋内設置が不可能であることが判明し、 オフグリッド設備は屋上屋外設置となりました。
さらに施工段階ではクレーン重量制限により、完成筐体の一括吊り上げができず、 現場分解・現場組立へと工程が組み替えられます。
工数が増える一方、無事故で完成に至ったこと自体が、この案件の“現場力”を示しています。

そして運用開始後、机上の想定では把握しきれなかった条件が次々に顕在化します。
黄砂の影響、高い湿度、そして近年の気候変化による高温化。 夏場には設備周囲温度が50℃前後に達する状況も発生し、 屋上屋外という条件が、都市部一般とは異なる難易度を生みました。

現場が支えた「調整と改善」

重要だったのは、問題を「想定外」で片づけず、現場が一体となって向き合ったことです。
黄砂・湿度・高温といった環境条件は、設備の劣化や安定性に直結します。
実際に、ファンや部材の劣化、腐食、内部温度上昇による安定性低下などが顕在化し、 運用しながら段階的に対策が積み上げられていきました。

“止めない”設計とは、完成品を置いて終わりではなく、 環境変化に応じて更新され続けるものだ――この前提が、現場で実証されていきます。

雷被害への対応と、追加カスタマイズ

追い打ちをかけたのが、近年増加している周辺地域での落雷です。 ゲリラ豪雨の増加とともに雷リスクが上がり、実際に落雷の影響で故障が発生しました。 ここで必要になったのは、単なる補修ではなく、設計思想そのものの再整理です。

対応として求められたのは、 機密性の向上/冷却性能と消費電力の両立/雷対策の強化。 現場の運用負担を増やさず、しかし環境条件には耐える。 そのための追加カスタマイズが実施されました(詳細は後編で整理します)。

「止まらない」を支えているのは人

現在この社屋の電源は安定して運用されています。 しかし、それは最初から完成された仕組みだったからではありません。 施工上の制約、屋上屋外という環境条件、黄砂・湿度・高温、そして落雷。
現実は“設計図”の外側にありました。

それでも止まらない状態を日常として成立させたのは、 社長の判断と、社員一人ひとりの気づき、現場での工夫と協力です。 現場に余計な判断を持ち込まないという思想は、 現場がそれを守れるように更新し続けたからこそ、成立しました。

次回予告

後編では、この環境条件と改修を経た現在、 社員が電源を意識せず、特別な操作もなく、日常業務として“何も起きていない”状態が どのように成立しているのかを整理します。

導入事例01(後編)へ:気づかれないまま動き続ける電源構成と、日常の運用

関連(設計思想の全体像)

「止めない」を前提に設計するための考え方は、今後の指針(Outlook)にも集約しています。

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